職場でハラスメントの被害に遭った場合、会社内にあるハラスメントの相談窓口に相談するのが一般的な流れです。窓口がない場合は所属している部署の責任者か、部署を管理している上役を頼るのが無難な対処法になります。介護施設で受けたハラスメントへの対処法も同様ですが、ハラスメントの加害者が施設を利用している要介護者の場合は事情が異なります。職員であれば上司やハラスメントの相談部署が注意を行うことで事態の解決を図ることが可能ですが、施設の利用者には職員の就業規約に基づいた抑圧は通じません。あくまで施設を利用するお客様への提言という形で穏便に対処することになります。そのため、ハラスメントの解消に至ることはほとんどないようです。
ただし、暴力や器物破損などの分かりやすい事例があればそれを理由にして施設の利用を拒否することは可能です。また、明白な物証がない場合でも、複数の職員から同一の被害報告を得ることができれば、被害申告に信憑性を持たせることができるので、効果的な対処ができるようになります。
しかし、あまりに強い姿勢でハラスメント被害を申し出ると、要介護者本人やその親族の怒りを買い、大きなトラブルに発展する可能性も少なくありません。ですから、事態の深刻化を避けるためには、早期のうちに自治体の福祉窓口などのように公共性が高い所へハラスメントの実状を提示し、被害に遭っている介護施設側の正当性を理解してもらうようにしなければなりません。悪質なハラスメントを繰り返す要介護者の情報は地域の介護施設同士で共有することが大切です。被害の拡大や再発を予防するためにも、被害に遭ったら個人も事業所も、適切な方法で対応するようにしましょう。介護業業界関係者に向けて発信されている【ハラスメントに悩むあなたへ】というサイトには、有益な情報が載っているので、一読しておくと参考になりますよ。