モラハラの実態について

倫理や道徳に反する嫌がらせを意味するモラハラは、どの職場でも起こる可能性があります。介護の現場では施設職員同士の他、施設を利用する要介護者がモラハラの対象になるケースもあります。要介護者は入浴や排せつ、着替えなどに介助が必要なことが多く、その点を口実に罵倒や嘲笑をぶつけられることがあるようです。また、食事や投薬に関する嫌がらせが含まれるのも介護の現場で起こるモラハラの特徴です。しかし、モラハラの被害者である要介護者が認知症を患っている場合は、被害の実状を訴えてもまともに取り合ってもらえないことが多々あります。そのため、モラハラがエスカレートしやすく、心身の健康に重大な不具合をもたらす結果に至るケースもよく耳にします。

ところで、モラハラが起こるのは、待遇や私生活の不満など、加害者の側に何らかの問題が生じているのが理由のほとんど占めていると言われています。また、被害者との関係が険悪であったり、単に他者をいたぶるのが好きという理由もあるそうで、モラハラへの対処は画一的な方法では解決には至らないそうです。したがって、個別の理由に合わせて対処法を変え、再発を防ぐための工夫も同時に講じるのが職場の雰囲気を良好に保つことには欠かせません。

介護の現場は多忙を極め、生活が不規則になりやすい傾向にあります。様々な不満が蓄積することで精神的な不満が膨れ上がり、モラハラを引き起こすリスクが大きく増大するため、職場環境を改善したり、スタッフ全員の仕事への姿勢を見直すことが、対人トラブルの発生を防ぐためのポイントになると思います。